資産形成コラム

医師の定年はいつ?勤務医としての働き方と退職後の老後資金

2021年4月1日、希望者は70歳まで働き続けることができるよう、就業機会の確保を企業の努力義務とする法律が施行されました。この法案、医師は無関係とはいかないかもしれません。医師は現役では高収入ですが、引退後の公的年金まで高収入ではありません。医師の定年後のキャリアについて、この機会にじっくり考えてみましょう。

医者の定年はいつ?

医師の定年はさまざまなケースがありますが、一般的に医師免許を持っている限りはずっと働き続けることができるため、定年という概念を持っている医師はあまりいません。開業医であれば、自分の気持ち次第でいつまでも働き続けることもできます。そして、勤務医の場合は以下2つの選択肢が考えられます。

  • 公務員の医師の場合
  • 民間病院の医師の場合

公務員の医師の場合は定年が決まっていますが、民間病院の医師の場合は定年制度を定めているところとそうでないところがあります。

公務員の医師の場合

国立・県立などの病院や、公営の医療団体などで働く公務員の医師の定年は「60歳定年」や、「60歳定年+5年間継続雇用(再雇用制度)」という形をとることが多いようです。

後者の場合、一旦定年となり、定年退職後に再就職をすれば、定年前の70%の年収が保証されなおかつ5年間勤めあげれば5年分の退職金も受け取ることができます。

また、公務員の医師を一旦退職になったとしても、医師不足によって引く手あまたの業界です。民間の医療機関で求職をすることで比較的次の仕事は簡単に見つかるでしょう。

民間病院の医師の場合

民間病院の医師の場合、定年の扱いはさまざまです。病院としては定年制度を定めていながらも院長など役職を変えることで、定年の対象からはずれ引き続き病院の運営に携わることも多いようです。

民間の場合も医師として働く意思があれば、現役を継続することも可能です。

定年後はどのような働き方を選択するか

医師として定年をむかえた後も、再度働き方を変えて医師の道を選択する人が多いようです。

医師として定年後も働くために、検討すべきポイントは以下の2点です。

  • 健康の問題
  • 年金生活の問題

医師の働き方はとてもハードです。その業務には人の命がかかっているため、精神的にもストレスのかかる職種です。定年後も医師として働いていくには、自身の健康状態と向き合う必要があります。

どの診療科で働くかもとても重要です。外科のように手術の精度が必要になるような診療科は、加齢とともに急性期医療の現場から離れたり、後任の育成やプライマリー領域の職務へシフトするケースも多いです。これまでの経験を活かし、働く場所や職務内容を変えることで、時間的・精神的に余裕のある働き方へ変化することで自身の健康状態と向き合いながら医師という仕事を続けることができます。

また、医師は現役時代は高収入でお金に困ることが無いかもしれませんが、引退後の公的年金も高収入とはなっていません。公的年金の不足額を補う意味でも、働き方を考えていく必要があります。

健康の問題

定年となる年齢に差し掛かれば、かつての若いころのように病院に泊まり込んで働くような仕事を進んでやっていては、健康を害してしまうでしょう。定年後は、自身の体力と相談しながら相応の業務を仕事に選んでいく必要があります。

さらに年齢を増していくと、若い頃には感じなかった衰えなども出てくることが考えられるため、時には転科を検討する必要も出てくるかもしれません。

年金生活の問題

医師を引退後、老後受け取れる公的年金額は決して大きな金額ではありません。

日本の年金制度は2階建てで、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金です。このうち個人事業主の開業医は国民年金のみの加入。勤務医は厚生年金に加入をしており、国民年金と厚生年金の両方に加入をしています。

そのため、老後の年金受取額は公的年金という面だけで比較をすると勤務医の方が有利になります。しかし、勤務医のおおよその公的年金額は月20万円~25万円程度。公的年金という面では有利なはずの勤務医でさえ、この程度です。

勤務医の平均年収は約1,200万円~1,500万円なので従来の年収の5分の1まで下がります。高収入の暮らしに慣れている勤務医は、年金だけで暮らすのは難しいでしょう。なお、開業医の場合はさらにこの格差が顕著です。

退職をした後も過度に年収を落とさないためには、定年後も働いて収入を得る必要があります。

それでも定年後引退を希望する場合は、自分の希望する老後生活を送るための貯えを用意しておく必要があります。

また、日本には年金の受給開始年齢を遅らせると、年金額が増加する「年金の繰下げ受給制度」があります。
同時に、日本政府は、「希望者が70歳まで働ける機会を確保することを企業の努力義務とする方針」を掲げており、働けるうちは働いて、少しでも年金繰り下げを利用して年金額を増やすという方法も活用しましょう。

ただしここも自身の体力と相談が必要です。

定年後の医師の再就職・働き方

定年後の医師の再就職や働き方の選択肢として主なものは以下の3つです。

  • 常勤として働く
  • 非常勤として働く
  • 嘱託医として働く

これまで通り常勤として働き、そのかわりハードな働き方ではなくストレスの少ない職場で働く方法。非常勤として、従来通りの業務内容、専門性を生かした職場で、週3~4日勤務などペースを落として働く方法。また従来常勤していた病院に、嘱託という形で雇用形態を変えて引き続き勤務する方法もあります。

常勤として働く

定年後も常勤として働くという方法です。常勤を希望する場合は、かつての若いころのような無理は禁物で、身体の負担が少ない働き方を選びましょう。具体的には以下の2つの働き方が考えられます。

  • 介護老人保健施設の管理医師
  • 療養型病院での勤務医

介護老人保健施設は、入居者の健康管理と健康指導が主な仕事です。また、施設の人材や施設の管理する施設長の役割を担うこともあるため、経営面でのスキルが身に付けることができ、勤務医時代とは異なるキャリアを積むことができます。経営に携わるため、給与面でも比較的充実しています。

ただし、介護老人施設で入居者が多い場合は、多少のストレスを感じることがあるかもしれません。急変時の搬送先となる連携病院の体制や関係性などしっかりと下調べをしておく必要があります。

また、療養型病院は治療よりも長期の介護が必要な高齢者が、医師のサポートのもとで看護や介護、リハビリなど必要な医療を受けることができる病院です。勤務環境もゆったりしているため、60歳以上の医師を歓迎する傾向があるようです。当直なし、週4日からの勤務で常勤としての待遇を用意している病院も珍しくないためセカンドキャリアとしておすすめです。

非常勤として働く

非常勤は医師の定年後の最もポピュラーな働き方です。仕事内容は常勤の医師と基本的には同じで、病気を治す医療に引き続き関わることができます。業務内容は従来通りと変わらず、高度な専門性を生かしたものになりますが、労働条件も日勤のみ、週1回以上という条件で働くことができるため、身体的負担が少なく働き続けることができます。

  • 健診センターでの健診専従医
  • 病院・クリニックでの外来専従医

健診センターは人間ドックや脳ドック、生活習慣病の予防健診、労働安全衛生法に基づく定期健康診断などを実施します。健診医は病気を見つけることが役割で、受診者の自覚症状だけではなく、過去のデータや既往歴、業務歴をみて判断、指導をします。読影スキルのある医師にとっては、定年後の働き方として人気がある仕事です。

一方、病院・クリニックでの外来専従医は、急性患者の対応もしなければいけないため、幅広い患者層を手際よく診察することが必要で、高度な専門性が求められます。

医師不足は慢性的に続いており、非常勤医師の採用枠は引き続き需要が高止まりすると考えられます。

嘱託医として働く

定年後は嘱託医として働くという選択肢もあります。嘱託医は従来の常勤医とは別の労働契約で働くことになり、退職後再度「有期契約」として年度ごとに再雇用をされるケースがあります。

医師の定年後の年収

定年退職後の医師は、従来通りの雇用契約ではなくなり、勤務の頻度も減少するため従来通りというわけにはいきません。

定年後も引き続き働くことで得られる収入と年金を合計しても依然として毎月や年間の収支がマイナスになるような場合は、貯蓄を取り崩しながら生活をしていかなければなりません。

医師の退職後の年金は思っている以上に多くはありません。退職後無理せずに、豊かな老後を過ごすためにも若いうちから資産形成をスタートすることをおすすめします。

まとめ

医師の公的年金は元々の給与水準が高いことから、他の職種と比べて安泰ではありません。定年後も働き先の需要は多いですが、年収は現役時代より低下することは避けられません。場合によっては、希望していないのに60歳や70歳まで働かなければいけない可能性も考えられます。老後に自分の思い通りのライフスタイルが送れるよう、収入のあるうちに資産形成を行っておきましょう。

コンシェルジュ
加納 由理Yuri_Kanou

教育学部卒業後、語学関係の企業へ。「もっと人の転機に貢献できる仕事がしたい」と転職。産休を2回取得し家では怪獣(子供)の相手をしながら、アドバイザーとして奮闘中。

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