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医師もいつか引退をする日がきます。そして、引退をすると公的年金が受け取れますが、公的年金だけで生活するのが難しいのは、一般の職業の人と同じです。特に個人事業主の開業医は、現役時代の収入は大きいですが、引退後の年金は極めて少なくなります。この記事では、医師を取り巻く公的年金制度と、それを補う私的年金について解説します。
医師が老後の公的年金の不足を補う制度の1つとして、医師年金という制度があります。医師年金は、民間の生命保険などと比較をすると予定利率は高い水準で推移していますが、生命保険料控除の対象にならないというデメリットや、医師年金自体の加入者が減っており制度自体が今後存続できるのかという問題点もあります。
医師年金とは、日本医師会が運営する医師のための私的年金で、日本医師会の会員で満64歳6カ月未満の方であれば加入をすることができます。医師年金の特徴は以下の3点です。
医師年金の主な構成は基本保険料と加算年金保険料の2つ。基本年金部分は65歳以降、15年保証期間付終身年金保険になり、加算年金部分は、65歳以降5年、10年、15年、終身と受け取り方を選ぶことができます。なお、受け取り開始年齢は満75歳まで延長することができます。
基本年金保険料 | 毎月12,600円
(年額138,000円) |
加入者全員が一律で加入 |
加算年金保険料 | 毎月6,000円単位でいくらでも掛けられる
(随時払の場合、10万円単位でいくらでも掛けられる) |
任意で加入 |
医師年金を運営している日本医師会は非営利事業なので、年金事業での事業収入は全て加入者に還元しており、予定利率は1.5%と効率的な資産運用が可能となっています。
しかし、医師年金は生命保険控除の対象にならないため、節税の効果はありません。医師は高収入で所得税率が高いだけに、医師年金が生命保険料控除の対象とならない点をデメリットに感じる人もいるようです。
また、医師年金の加入者は最盛期には加入者5万4,000人、資産規模は7,100億円の規模を誇る私的年金でしたが、2015年3月時点では加入者は約1万8,000人と急速に減少をしています 。このような年金制度は、加入者や資産規模が縮小すれば存続できなくなるリスクも考えられます。
医師年金以外にも医師が加入できる年金制度は存在します。その他の年金制度についても詳しく知り、自分のライフスタイルに合ったものを選択することも検討していきましょう。
ライフステージ別に自分に最適な節税・資産形成をお探しすることができます。
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日本の年金制度は、国民年金をベースに、会社員の方は厚生年金が上乗せになっている2階建ての構造です。ここまでが公的年金で、この公的年金の不足分を上乗せするものとして、企業が独自で用意している企業年金や、個人が自助努力で準備をするiDeCo (イデコ)といった制度などがあります。
個人事業主である開業医は働いている間は圧倒的に勤務医よりも収入は多い傾向にありますが、引退後の公的年金はかなり心もとないので、現役で収入があるうちに私的年金や運用商品を取り入れてしっかりと、老後の備えを用意しておく必要があります。
一方、勤務医の場合は報酬を給料という形でもらっているため、厚生年金に加入をしていることや、病院によっては企業年金を取り入れているところもあるので老後の公的年金に限定して言えば開業医よりもかなり恵まれていることが多いのが現状です。
医師が加入する、または加入できる公的年金は以下の3つがあります。
先に述べましたが、個人事業主である開業医は国民年金に加入をしています。一方、報酬を給料で受け取っている勤務医は厚生年金に加入をしています。
全国国民年金基金は公的年金ですが、国民年金に上乗せをする「私的年金」という側面もあります。
国民年金は日本に住んでいる20歳から60歳未満の人は全員加入することになっています(強制加入)。国民年金を払うことで、65歳以降は老齢基礎年金を受け取ることができます。20歳~60歳まで40年間納め続けると受け取れる年金額は年間約78万円(2021年現在)。
令和3年度の国民年金保険料は毎月16,610円で、納付書を利用してコンビニや金融機関で支払う方法や、口座振替、クレジットカードで支払うこともできます。
口座振替を利用して1年分または2年分をまとめて支払うと割引が適用されます。
またクレジットカード払いの場合は、年金の支払いでもクレジットカードのポイントが貯まります。
なお、国民年金を納めることで将来受け取れる年金を「老齢基礎年金」といい、その額は、20歳~60歳の40年間(480カ月)のうち何カ月納めたかで変動します。
【老齢基礎年金の計算方法(令和3年度版)】
780,900円×国民年金を納めた月数/480カ月 【例】 30年間納めた場合 780,900円×360カ月/480カ月=585,675円 となります。 |
サラリーマンなどの会社勤めで給料をもらっている場合は厚生年金に加入をすることになります。
1週間の所定労働時間や、1カ月の所定労働時間が一般社員の4分の3以上であること。また、週20時間以上勤務をしていること、1年以上の使用が見込まれるなどの要件を満たす従業員は厚生年金に加入をする必要があります。
国民年金のように納付をするのではなく、厚生年金保険料という項目で給料から天引きされることで国民年金と厚生年金の保険料を同時に納めることになります。なお、天引きされる厚生年金保険料は、収入によって異なり、国民年金のように一律ではありません。
厚生年金を納めることで、国民年金の支払いも完了するため、将来受け取れる金額は、老齢基礎年金に、老齢厚生年金が上乗せされて65歳以降支払われます。
そのため、個人事業主よりもサラリーマンの年金制度の方が手厚いという特徴があるのです。
また、老齢厚生年金は現役時代に厚生年金保険料を多く払うほど多く受け取ることができるため、現役時代に年収が高かった人ほど、多く老齢厚生年金を受け取るという特徴があります。
個人診療所の医師や従業員、家族や非常勤の医療従事者が加入対象となります。
加入の義務はなく、自助努力で加入の有無を決める制度で、掛金は全額所得控除となり、節税効果があります。まずは終身年金A型(15年間保証付き)、B型のプラン(保証期間なし)いずれかに加入をし、その後自身の希望に合わせて口数を増やしていきます。
最大で月6万8,000円まで加入することができ、加入する口数で将来の受取額も異なります。
なお、iDeCo(イデコ)と併用することは可能ですが、iDeCo(イデコ)と併せて68,000円が加入の上限となる点に注意しましょう。
全国国民年金基金が、コースによって将来の受け取り額がきまっている「確定給付」なのに対し、iDeCo(イデコ)は投資額が毎月一定ですが、運用成果によって受取額が変わるという違いがあります。
iDeCo(イデコ)のように運用のリスクは避けたいけれど、節税効果は享受したい人に全国国民年金基金は向いています。
公的年金以外に本人の自助努力で用意する年金を「私的年金」といいますが、私的年金には主に以下の2つがあります。
また、冒頭に紹介した医師年金(日本医師会年金)も私的年金の1つです。
保険医年金とは、全国保険医団体連合会(保団連)が運用している年金の積立制度で、各地域の保険医協会、保険医会への入会が必要で、満74歳まで加入をすることができます。
加入申込期間(普及期間)中に、各地域の保険医協会に申し込みをした後、引き受けをしている保険会社の担当と面談後加入をすることになります。
【積立額】
積立額は毎月1万円から。通算30口まで加入ができます。
一時払いの場合は1口50万円(新規は40口まで、既に加入の場合は加入日毎に20口まで)。
【受給方法】
受給方法は受給時に選択。
一括受け取り、10年・15年確定年金、逓増型15年、20年確定年金から選択をします。
個人年金保険のような特徴がありますが、個人年金保険料控除は適用にならず、生命保険料控除が適用になります。
個人年金保険は各保険会社が運用している保険商品で、リスクはありますが、大きく資産を増やすことができる外貨建てタイプもあります。
特に属している企業や団体に関係なく、個人で希望する保険会社を選んで加入をすることが可能で、保険会社に連絡をして、営業担当と面談の上加入をします。
【積立額】
毎月払い、一時払いなど金額も含め柔軟に対応が可能。
【受給方法】
一括受け取り、5年・10年・15年確定年金、終身年金など保険会社によってバリエーションがさまざま。
毎月支払う保険料は個人年金保険料控除の対象となります(保険料払込期間が10年以上であることや、年金の支払開始が60歳以上かつ、支払期間が10年以上あることなど一定の要件を満たす必要があります)。
医師は年金制度含め特殊な職業のひとつです。将来に不安を残さないために、できれば早いうちから節税の手法を身につけたり、少額からでも資産形成を計画的立てておきましょう。具体的な行動を起こすには、節税・資産運用の手段の情報収集が重要になります。
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医師が引退した後は公的年金を受け取ることになりますが、私的年金を用意しない限りは、一般の職業の人と大きな差はありません。特に個人事業主の開業医は、公的年金はあまり期待できないでしょう。医師年金や保険医年金のメリットとデメリットを理解して、早い段階からスタートをすればリスクをおさえて、大きな資産を作ることが可能です。もし必要であれば、医師年金のシュミレーションをしてみるのもいいかもしれません。シュミレーションは日本医師会のサイトからも行えます。医師資産形成.comでは、医師の節税・資産形成に特化した総合相談を受けています。是非、医師資産形成.comの個別相談をご活用ください。ご自身で行いたい節税・資産形成の手段がある場合や、ライフステージから探したい場合はこちらが便利です。