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医師は確定申告が必要で、勤務医も一部確定申告が必要な場合があります。日本の税金の仕組みは複雑と感じる人は多いですが、知っておくと便利な仕組みがあります。この記事では医師の確定申告で注意するべき点と、知っておきたい不動産投資による節税の仕組みや、特定支出控除も交えて解説します。
医師は個人事業主として経営をしている場合、確定申告をする必要があります。また勤務医も一定の要件に該当する場合は、確定申告が必要です。確定申告は期限内に行う必要があり、期限内に行わない場合はペナルティとして本来の税率に加えて無申告加算税などが発生します。
確定申告とは毎年1月1日~12月31日の間に発生した所得を合計して税金を確定させる手続きのことです。2月16日~3月15日の間に行い、確定申告書を作成して管轄の税務署に提出をします。
申告だけではなく、確定した税金を納付まで行う必要があるので注意が必要です。
3月15日までに確定申告書を提出せず、期限後に提出したり、税務署から決定処分を受けた場合は無申告加算税として、50万円までは15%。50万円を超える分については20%を本来の税額に加えて支払うことになります。申告期限後、自主的に申告をした場合は5%に軽減されます。
これに加え延滞税、重加算税などがペナルティとして課されるため、確定申告は必ず行いましょう。
医師が確定申告をする必要がある条件は主に5つあります。
執筆や講演会、メディアへの出演、また業務委託という形で給料ではなく、報酬として仕事を請け負っている場合など、年間合計20万円を超える副収入がある場合は 確定申告をする必要があります。なお、20万円以下の場合は、確定申告は必要ありません。
主たる勤務先以外から収入を得ている場合も確定申告をする必要があります。正規採用でなくても、別の病院でアルバイトをしている場合や研修医などで給料を得ている場合は、確定申告が必要になります。
勤務医が勤務している病院から受け取る報酬は、給料という扱いで給料から所得税を天引きした金額になります。したがって、勤務医は本来確定申告をする必要はありません。しかし、勤務医に限らず給与収入が2,000万円を超えれば確定申告が必要になります。
不動産投資などの収入がある場合も確定申告が必要になります。不動産投資とは、アパートやマンション、戸建てといった不動産を購入し、そこに住む入居者の家賃収入によって収益を得るという投資手法のこと。
不動産投資で収入がある人で、不動産投資の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
また、仮に不動産投資で万が一損失が発生した場合は、通常の事業の所得から不動産投資の損失分を差し引くことが可能です。その結果、所得が少なくなり支払う税金を少なくすることができます。このように損失を他の所得から差し引くことを損益通算といいます。
不動産投資は、固定資産税、建物の火災保険料、管理費、修繕費、減価償却費、広告宣伝費など経費計上ができる項目が多く、なかでも減価償却費は所得を減少させる効果が高いため、節税対策として利用されます。
勤務医が不動産所得を副業で行っていて、損失が発生したような場合は確定申告によって還付を受けることができます。
日本の税金は各種控除を受けることで税金を減らすことができます。
日本の所得税額は課税所得金額に一定の税率を乗じて計算される仕組みになっています。課税所得金額は収入から必要経費を引くことで計算できます。個人事業主で収入が500万円、必要経費が200万円発生した場合の課税所得金額は300万円。課税所得金額300万円の場合の所得税率は10%になります。
この仕組みを理解すると、課税所得金額を減らせば減らすほど税金が安くなることがわかります。
必要経費を増やせば課税所得金額は減らすことはできますが、やみくもに必要経費として認められるわけではありません。
そこで必要経費以外に課税所得金額を減らす方法として、所得控除を利用する方法があります。
代表的なものに、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除があります。それぞれ4万円ずつ控除ができるため、前述の課税所得金額300万円の場合は、さらに12万円減って、課税所得金額は288万円に下がります。
その他年間一定額以上の医療費がある場合は、最大200万円まで控除が受けられる医療費控除。また、一定収入以下の配偶者がいる場合は配偶者控除など、15種類の所得控除が存在します。
個人事業主である医師がこれらの控除を受ける場合は、確定申告が必要になります。
勤務医の場合は、控除項目を書類に記入して担当部署に添付書類と一緒に提出をすれば確定申告はする必要はありません。
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個人事業主である医師で青色申告承認申請書を提出している場合は、青色申告特別控除、提出していない場合は白色申告にて確定申告を行います。青色申告特別控除を受けられる場合は10万円、55万円、65万円の3段階あり、要件を満たせば最大65万円の控除が受けられます。
勤務医の場合、青色申告特別控除は該当しませんが、特定支出控除という控除を受けられます。特定支出控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。
前章で課税所得金額は収入から、必要経費を引いた金額とお伝えしましたが、勤務医には必要経費は一般的にはありません。勤務医やサラリーマンは給料という形で収入を得ていますが、給料を受け取る人は給与所得控除という控除によって、一律で必要経費を控除されていると考えるためです。
しかし、勤務医は自身のスキルアップのために、独自で書籍を購入したり、足を運んでセミナーに参加をしたり、サラリーマンのようにワイシャツやスーツを着ることもあるなど、時には必要経費を自己負担している場合があるのです。
そこで、このような経費を自己負担した分のうち要件を満たすものは特定支出控除という控除が認められます。
特定支出控除で認められる項目は以下のようなものがあります。
これらの項目の支出合計額が、給与所得控除額の2分の1(最高125万円)を超える場合は、超えた金額分を給与所得から控除することができます。
なお上記の支出のうち、自己負担をしたものに限られ病院から支給された場合は、特定支出として認められません。
また、確定申告で特定支出控除を受ける際は、支払者からの証明が必要になります。
確定申告は毎年1月1日~12月31日の間に発生した所得を、その翌年2月16日~3月15日の間に行い、確定申告書を作成して管轄の税務署に提出をし、期限内に納税まで済ませる必要があります。
確定申告は確定申告書を入手して、必要事項を記入して税務署に提出をします。
確定申告の期間は短いうえ、期間中は税務署も混雑するため、何度も往復することが無いよう事前準備と必要書類は入念に確認をしておきましょう。
医師の確定申告に必要な書類は以下のものがあります。
医師は人の命を預かる大切な仕事です。特に開業医は、医療行為以外にも開業してすぐの間は、クリニックの知名度を上げたり、帳簿をつけたり、人を雇えば労務管理なども必要になります。
このような業務のなか、確定申告に関連する業務を自身で行うと、申告書の記入に誤りが生じ、同時に納税額も誤りが生じます。税務署の調査を受けた後に修正申告をすると、通常納める税金に加え、過少申告加算税というペナルティが発生することもあります。
修正申告後に税務署から誤りについて指摘をうけ、慌てて修正をしてペナルティを受けるくらいなら税理士に確定申告関連業務はお願いしてスムーズに済ませてしまうというのも一つの方法です。
また、診療所も一般の企業と同様、創業期、成長期、成熟期、衰退期(事業承継など)各ステージにおいて特有の問題が発生します。
税理士は、確定申告のお手伝いだけではなくこれらのあらゆるステージで相談に乗ってくれる良き相談相手です。診療所の将来も見据えたうえで、医師に特化した税理士に確定申告から依頼するという選択肢も視野に入れておきましょう。
個人事業主である医師や一部の勤務医も確定申告が必要です。
確定申告は自分でもできますが、日本の税制は複雑なため、業務が多忙ななか自分で確定申告をしてミスが発生すると、急な業務やペナルティによる課税が発生します。スムーズな確定申告を希望する場合は、税理士の活用も検討しましょう。
確定申告に関するお役立ちページ
【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
医業以外の副収入がある、複数の勤務先で働いている、年収2000万円以上…など、確定申告が必要な先生は意外にも多くいらっしゃいます。「知らずに損」をしないためにご自身が確定申告の対象なのか毎年確認することが必要と同時に、その情報収集も併せて行っていく必要があります。
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