クリニックの運営には設備投資や人件費など、多額の資金がかかります。運営費用や開業資金などは、なるべく少なくしたいと誰しもが考えることでしょう。多くのクリニックが資金を準備する際は、銀行などの金融機関から融資を受けていると思います。
金融機関以外の選択肢として補助金・助成金を利用するという方法があります。今回はクリニック経営をサポートする、補助金・助成金を紹介します。
なお、開業で失敗しないための資金の貯め方に関してこちらの記事にまとめました。合わせて参考にしてみてください。
医師が開業で失敗しないための事前準備|気になる年齢や資金の貯め方まで紹介
行政機関の行っている補助金・助成金は医師でも利用することができます。補助金・助成金は一定の条件を満たし審査などを通過すれば受けられる、基本的に返済不要のサポートです。
開業時や医院の運営に役立つ補助金・助成金を紹介していきます。
創業・事業承継補助金の対象は中小企業で、新たに創業する事業者や事業継承者に対して、創業や事業転換など、新たな取組に要する経費の一部を助成することを目的とした制度です。
<支給金額>
● 創業補助金
補助率: 1/2以内
補助金額の範囲: (1)外部資金調達がない場合:50万円以上100万円以内
(2)外部資金調達がある場合:50万円以上200万円以内
● 事業承継補助金
補助率: 1/2以内
補助金額の範囲: (1)事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴わない場合100万円以上200万円以内
(2)事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴う場合100万円以上500万円以内
<申請先URL>
http://sogyo-shokei.jp/sogyo/
就業経験の不足や長期のブランクなどによって、就業困難な求職者の救済措置として制定された制度です。求職者の適性を見極めるための期間を設け、雇用創出につなげることを目的としています。
ハローワークや職業紹介事業などの紹介により、一定期間試行雇用した場合が対象となります。
<支給金額>
支給対象期間:最長3ヶ月間
支給額:支給対象者1人につき月額4万円
<申請先URL>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_koyou.html
パート・アルバイト・派遣労働者などの非正規雇用の労働者の、企業内でのキャリアアップを促進するための制度です。対象となる従業員に対しての正社員化や待遇改善、賃金の規定を改定した事業者に対して助成されます。
従業員側はキャリアアップにつながり、企業側は助成金で人材確保や育成ができる、双方にメリットのある制度です。
<支給金額>
対象人数:1事業所ごとに年間最大20人まで
助成額:1人当たり最大72万円
<申請先URL>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
高齢者や障害者を雇用する事業者に対して支給される助成金です。ハローワークまたは、民間の職業紹介事業者等の紹介による雇用であることや、対象者を継続して雇用することなどが支給条件です。
労働者の区分や労働時間によって助成金額が異なります。
<支給金額>
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等: 最大60万円
重度障害者等を除く身体・知的障害者: 最大120万円
重度障害者: 最大240万円
<申請先URL>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html
IT導入補助金は、中小企業などが自社の課題解決やニーズに対応するために導入するITツールに対して、業務の効率化や売上アップを目的として支給される補助金です。
会計・給与計算システムや電子カルテシステムなども対象となるため、病院経営を行っている事業者にも役立つ制度です。
<支給金額>
補助率:1/2以下
A類型:40万~150万円
B類型:150万~450万円
<申請先URL>
https://www.it-hojo.jp/
職場定着支援助成金は、企業の離職率低下を目的とした助成金です。職場の環境改善や制度改革など、労働者の定着・確保を図る場合に支給されます。
研修制度、健康づくり制度等を計画した場合に支給される制度導入助成と、目標を達成した場合に支給される目標達成助成に分かれます。介護事業主が介護福祉機器等の導入等を行った場合も支給されます。
<支給金額>
制度導入助成:各10万円
● 評価・処遇制度
● 研修制度
● 健康づくり制度
● メンター制度
● 短時間正社員制度
目標達成助成:最大75万円
<申請先URL>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/teityaku_kobetsu.html
小規模事業者持続化補助金は、資金や人材に制約のある中小企業に対し、経営改善や販路開拓支援を目的とした助成金です。この制度の対象は従業員数5~20人以下の小規模事業者に限られます。
助成金の使用目的はホームページやチラシ作成など経営改善や販路開拓につながるものであれば対象として認められます。
<支給金額>
補助額:最大50万円
補助率:2/3
<申請先URL>
http://www.shokokai.or.jp/?post_type=annais&p=6742
労働者のキャリアアップ、キャリア形成の促進を促すことによる、企業の競争力向上を目的とした助成金です。机上研修(OFF-JT)や実施研修(OJT)などの研修を行う企業に対して支給されます。
人材開発支援助成金は7つのコースに分かれていて、それぞれ内容や支給金額などが異なります。
1. 特定訓練コース
2. 一般訓練コース
3. 教育訓練休暇付与コース
4. 特別育成訓練コース
5. 建設労働者認定訓練コース
6. 建設労働者技能実習コース
7. 障害者職業能力開発コース
<支給金額>
各コースによる
<申請先URL>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
地方再生事業を行う事業者を対象とした助成金です。地方再生事業とは、失業問題などの改善が進んでいない地域における重点産業分野に該当する事業のことです。
重点産業分野に該当する具体的な分野は、各都道府県によって異なります。雇用創出や地域活性につながる事業の創業時の支援として支給されます。
<支給金額>
創業後6ヶ月以内に支払った創業経費の3分の1(最大500万円)
<申請先URL>
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/b02-6.html
助成金の申請方法などを専門家に相談したい場合は、コンシェルジュを頼む方法もあります。専門家に相談することで、助成金の活用方法をより深く理解できます。
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今回はクリニックでも利用できる補助金・助成金について解説しました。補助金・助成金は細かく分類が決められているので、内容にあった区分で申請しなければいけません。
まずはどういったものがあるのかを理解し、クリニックの状況にあったものを検討しましょう。補助金・助成金は原則的に返済不要の給付金です。クリニック運営のために有効に活用しましょう。補助金・助成金は原則的に返済不要の給付金です。クリニック運営のために有効に活用しましょう。
なお、税金や節税対策をお考えの方に向けて、随時セミナーを開催しています。定期的に情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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