クリニックの開業には多くの準備が必要です。資金調達、開業地の確保、開業届の提出、スタッフの募集などやることは尽きません。
また、「何から始めればいいのか、どれくらいの準備期間が必要なのか?」など分からないことだらけだと思います。ただでさえ忙しいのに、勤務医であれば仕事をしながら準備を進めなければいけません。
開業準備をスムーズに行うためには、全体を把握することが大切です。何が必要なのか見ていきましょう。
なお、以下のリンク先で開業準備をサポートしてくれる会社を紹介しています。一人での開業準備に不安を感じる場合には、そうしたサポートを利用してみてはいかがでしょうか。
【医師開業・医院開業】支援会社のサポートの内容について説明
クリニックの新規開業にはたくさんの準備が必要です。やることがたくさんありすぎて、「何からやればいいのかわからない」という事態に陥ることも考えられます。
そうならないためには、まずやらなければいけないことを把握して、優先順位を整理する必要があります。スムーズに準備を進め、万全の状態で開業初日を迎えるためには、綿密なスケジュールとしっかりとした計画を立てることが重要です。
クリニックの開業準備には時間がかかります。まず必要なことはスケジュールを立てることです。開業コストがかかる期日を把握することが大切です。
開業地の決まっていない構想段階からだと、準備期間に2年程度をかけることが多いです。開業店舗が決まっている場合は戸建ての物件では約16ヵ月、テナントでは約12ヵ月の準備期間が必要になります。
開業にはどのような準備が必要になるか、事項で詳しく解説していきます。
開業にあたって、最初に決めなければいけないことは経営理念や診療コンセプトです。この2つ次第でのちの決定内容を左右するため、当初の段階からしっかりと作りこんでいく必要があります。
経営理念や診療コンセプトがしっかりと決まっていれば、どんな業態でとのエリアに出店すればいいかなどの構想が見えてきます。構想段階で決定することはたくさんあります。
<開業準備に必要な医院構想>
● 経営理念や診療コンセプトの決定
● 開業形態や医院の規模の決定
● 開業エリアの決定
● 事業計画
● 開業時期の決定
● 資金調達の方法
計画を立てたら、次必要なことは資金の準備です。まずは必要な資金を計算し、全体の費用を把握します。必要な資金が把握できたら、金融機関に相談します。このときに複数の金融機関に話を聞き、どこから融資を受けるのかを決めます。
金融機関が決まったら、事業計画書を作り申し込みます。資金調達には多くの時間がかかります。融資は前もって申し込む様にしましょう。
● 必要な資金の金額の計算
● 銀行融資の相談
● 事業計画書の作成
● 銀行融資の申し込み
● 融資の審査
科目別に自己資金の目安を知りたい人は、下記リンクからチェックしてみてください。
医師開業時の自己資金の目安を各科目別に紹介!資金調達の方法も説明
開業地・物件選びは重要です。どれだけの患者数が見込めるか、家賃は収支に見合っているのかを調査し見極めなければいけません。
開業資金節約には、継承物件を検討する方法もあります。継承物件とは後継者がいないなど、なんらかの理由により閉院することになった物件を引き継いで開院する方法です。既存の設備を利用することで費用を抑えることができます。
賃貸物件の契約や内装工事などは完成までに時間がかかるため、開業日から逆算して考得ておく必要があるでしょう。
● 開業地の調査
● 継承物件の検討
● 賃貸契約
● 物件の内装工事
新規開業では医療機器の選定や発注もしなければいけません。医療機器の種類によってはリースと月賦どちらいいのかなど変わってきます。操作が複雑な機器などは操作指導を受けるなどの準備も必要になります。
大型の機材は配線工事も必要になり、時間がかかります。こちらも直前にならないように前もって計画しておくことが大切になります。
● 医療機器
● 医薬品
● 什器や備品
● 廃棄物業者
クリニックを開業するためにはたくさんの手続きが必要です。担当している部署が違うため、申請のためには各諸官庁へ出向かなければいけません。
診療所開設届であれば保健所ですし、保険医療機関指定の申請であれば厚生局に届け出をする必要があります。
クリニック開業に必要な主な手続きの一覧です。
● 診療所開設届
● 保険医療機関指定の申請
● 税務署への届出
● 労働保険の手続き
● 社会保険の手続き
上記内容以外にも、エックス線検査を行う場合は「診療用エックス線装置備付届」を提出する必要がありますし、入院施設を設置するには「診療所使用許可申請書」を提出する必要があります。診療内容などによって申請内容は様々です。
行政への手続きは初めての人にとっては難しく感じられるかもしれません。行政の手続き方法をプロに相談したい場合、以下リンク先のコンシェルジュに相談してみるという方法もあります。
コンシェルジュ一覧はこちらから
クリニックを新規開業しても、存在を知られていなければ患者さんは来院してくれません。開業後好調なスタートを切るためにはチラシ・看板等を使って地域住民へPRすることが必要になってくるでしょう。
また、患者の付いていない新規開業のクリニックではホームページなどのWEB広告を使った戦略も重要です。患者はインターネットで近隣のクリニックを検索して来院することも珍しくありません。医院のロゴマーク作成や診療内容、経営理念などをわかりやすく記載することでアピールになります。
● 医院の名称の決定
● 医院のロゴマークなどの決定
● ホームページ作成
● チラシ・看板
● ポータルサイトへの掲載
クリニックを開業し運営を行うためには、必要な人数のスタッフを集める必要があります。スタッフが何人必要かというだけでなく、従業時間は何時から何時、給料・時給はいくらにするかなどを決めなければいけません。
時給であればその地域の平均時給を調べ、低くなりすぎない様にするなどの工夫が必要です。募集費や人件費をかけすぎれば経営が苦しくなりますしが、良い人材を採用するためにはある程度の費用は必要です。
● 人員計画の策定
● 就業時間の検討
● 時給の検討
● 募集広告
● 面接
● 採用
● スタッフ研修
やらなければいけない準備はまだあります。勤務医の場合、勤務先の退職手続きを進めなければいけません。その他にもクリニック内の責任者の選出や、担当の会計士の決定なども行わなければいけません。
後々のためには近隣の病院や関係各所への挨拶回りも重要です。開業アピールのためには、関係者を集めた内覧会も行う必要があるでしょう。
● 勤務医を退職する準備
● 会計士の決定
● 責任者の決定
● 各種挨拶回り
● 内覧会
開業12ヶ月前までには経営理念や診療コンセプトの決定、物件の選定や資金調達を終わらせておく必要があるでしょう。ホームページの作成、内装業者の選定は時間がかかります。6ヶ月前には準備しましょう。3ヶ月前頃にはスタッフの募集や内装工事の着手をスタートします。
開業1~2ヶ月前が一番忙しくなります。開業届の申請に、機材の設置や資材の搬入、スタッフの研修や広告の打ち出しなどやることがたくさんあります。計画通りに進めるには、スケジュールを逆算して考えることが大切です。
また、同時期に並行して準備を進めなければいけないため、混乱してしまうこともあるでしょう。そうならないためには事前に漏れのないスケジュールを組んでおく必要があります。
~12ヶ月前 経営理念や診療コンセプトの決定
開業場所、物件を選定
資金調達
~6ヶ月前 医院名・ロゴマーク作成
ホームページ・PRの準備
内装業者の選定
~4ヶ月前 医療機器・設備の選定
~3ヶ月前 内装工事に着手
スタッフの募集
~2ヶ月前 勤務医を退職する準備
医療機器・設備の設置
チラシ・看板等の広告打ち出し
~1ヶ月前 開設届けの提出
各種申請
スタッフ研修
備品の納入
内覧会の実地
今回はクリニックの開業準備について解説させていただきました。開業準備は同時並行で進めなければいけません。
どの工程がいつ始まりどこで終わるのかなどを把握するには、全体の工程をスケジュールに落としこむ必要があります。全工程をスケジュールに落としこみ、漏れのない計画を立てることで、クリニック開業を成功させましょう。
上記スケジュールから分かるように、開業は1年以上前から準備を始めるのが一般的です。開業で失敗しないための事前準備については、こちらのリンク先を参考にしてみてください。
医師が開業で失敗しないための事前準備|気になる年齢や資金の貯め方まで紹介